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虚血性心疾患の新検査法開発〜副作用少なく 国際的な評価も〜

2019年12月17日

191216諏訪中央病院新しい検査方法
諏訪中央病院
 諏訪中央病院は虚血性心疾患の新しい検査方法「SPR」を開発した。心臓カテーテル検査で、血管拡張薬を使わずに生理食塩水を用いることで、従来よりも安全で短時間のうちに冠動脈内圧の差を測定できるという。16日、説明会を同院で開き、循環器内科部長の若林禎正医師(39)が「薬を使う必要がなく、検査時間が非常に短くなり、患者さんの負担が減る。広く世界的に検証が進んでいけば」と報告した。
 2016年ころ、同院循環器内科の藤森義治医師(63)らが、普段の検査でも、生理食塩水を注入したときに血管内の圧力が変化することを発見。検証を始め、昭和伊南総合病院(駒ケ根市)と共同で研究を進めて、現在の標準的な検査法と比べても高い正確性を持つ方法を開発した。
 血管の詰まりや細くなっている部分で、どのくらい血流が阻害されているのか調べる際、従来は薬を使って十分に血管を広げる必要があった。新しい方法では、粘度の低い生理食塩水を注入し、血管の抵抗をなくすことで検査に適した状態をつくる。これまで300弱の病変を検査したが、低血圧や不快感といった副作用は起きていないという。
 アメリカ心臓病学会や日本循環器学会で発表し、欧州心臓病学会誌系に新しい検査方法として取り上げられている。安価で一般的な生理食塩水を使い、薬による副作用のない簡便で新しい発想として、地方の一般病院では珍しく国際的な評価を得ているという。
 メカニズムを実験的に解明して、来年中に論文を発表する予定で、現在、国内の複数施設で大規模試験を実施している。若林医師は「諏訪中央病院は、若手医師が全国から集まり、常に教育と研究の意識を持っている。薬の要らない検査で患者さんの負担が減り、治療にも生かすことができるのでは」と話していた。
(写真は、研究を発表する若林医師)