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「オール岡谷産」へ前進 三沢区民農園春蚕の繭42キロ納入

2019年7月12日

190711オール岡谷産シルクへ前進
 三沢区民農園が飼育した春蚕(はるご)の繭が11日、岡谷市郷田1の宮坂製糸所へ納められた。今回は4月に着任した地域おこし協力隊員が初めて養蚕に関わり、量は昨年の春蚕約36キロを上回る約2万頭分の約42キロ。同社によると昨年、区民農園が納めた約55キロについては既に糸繰りも始まっている。今後は「岡谷絹工房」と協力隊員が製品の試作に入り、原料から「オール岡谷産」のシルク製品開発を目指す岡谷市の取り組みは大きく前進しそうだ。
  区民農園は2014年から広畑遺跡近くに構えた蚕室で養蚕に取り組む。大日本蚕糸会の研修を受けた片倉仁さん(58)=川岸上=が中心となり、16年から宮坂製糸場に繭を納めてきた。今季の春蚕は6月から飼育が始まり、箕輪町の桑を使って育てた。長さ25ミリ、直径15ミリほどの比較的大きい繭になり、同社の高橋耕一社長(53)は「病気もなく、今までで一番いい出来」と評価する。
 今回から、東京農工大学の実践農場で10年ほど養蚕に携わったという協力隊員の橋口とも子さん(53)が加わった。橋口さんは「信州で初めての養蚕で、想像以上の寒さなど想定外のこともあった」とするが、助言し合いながら取り組んだ片倉さんは「蚕室の温度管理など細かいところにこだわれたことが量や質につながった」と手応えを話す。
 今回納めた繭からは7、8キロの糸が取れるといい、同社では諏訪式で糸を繰る予定。製品化へ、協力隊の佐々木千玲さん(50)が絹工房と共同で試作作業に入る。絹工房の小山町子代表(72)=内山=は「純岡谷産の繭を使うことは楽しみだが、プレッシャーもある。協力隊と相談して取り組みたい」とする。
 区民農園は生産量の確保へ、区内に新たな蚕室を建てる準備を進める。秋ごろの完成を見込み、これまで限度だった1回2万頭から、最大6万頭まで飼育できるようになる計画という。片倉さんは「これまでなかった岡谷ブランドの製品ができれば」と期待を寄せ、「そのためには生産者として良い繭を納めるだけ」と話す。
(写真は繭の出来栄えを確かめる左から小山さん、橋口さん、蚕糸博物館の高林千幸館長、片倉さん、高橋社長)