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スワリカブランド「山岳見守り」実証実験
2019年3月15日
産学公連携「スワリカブランド」創造事業で14日、山岳救助用ドローン(小型無人機)のテスト飛行が北八ケ岳ロープウェイ山頂駅近くの坪庭付近で行われた。実際の遭難状況に近い標高2237メートルの地点で、IoT(モノのインターネット)技術を生かして開発中のシステムを試した。公立諏訪東京理科大学の小林誠司特任教授は「一連の流れが確認できて良かった。あと2年で商品化まで持っていきたい」と話した。
茅野市と諏訪東京理科大、地域の企業が連携し、本年度から2020年度まで3カ年の計画で、新技術や新製品の開発を進める。少ない消費電力で広範囲に通信できるネットワーク技術「LPWA」を使い、山岳遭難や鹿による農林業被害といった地域課題の解決に取り組む。
実験したのは「山岳見守り」をテーマに試作したシステム。入山記録を残すチェックインゲート、位置情報をLPWAで送信する発信器、捜索ドローンの三つを連動させ、遭難者の現在地や画像を救助隊に伝えることで、一刻も早い発見につなげる仕組みだ。
登山口のゲートに発信器をかざすと、設置したカメラが自動で全身写真を撮り、チェックイン時刻を記録する。遭難した場合は、登山者が携帯する発信器が発信した位置情報を基に、ドローンを飛ばして周辺を空撮。登山口の情報と照らし合わせ、遭難者の服装や経路などを特定する。
テストに参加した、ロジカル・ワークス(茅野市ちの)の中村敏久代表は「バックカントリースキーで遭難者が増えている。具体的な対策を取るには、費用負担が問題になるが、ワンデイ保険とひも付けするなど、保険会社と組めば自走する事業になるのではないか」と期待した。
実証実験を踏まえ、発信器の小型化や電池容量、個人情報の取り扱い、機器の設置方法などを検討し、製品化を目指すという。(写真は端末の位置情報とドローンの画像を組み合わせた実証実験)