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尖石遺跡範囲確認調査新たに土坑4カ所確認
2018年12月5日
茅野市教育委員会が尖石遺跡西側の境界を確認するため、昨年度から遺跡外の民有地・市有地を対象に実施している範囲確認調査で、遺跡北西の本年度分調査地から新たに食物を貯蔵したとみられる土坑(貯蔵穴)2カ所、柱を建てたとされる土坑(柱穴)2カ所が見つかった。同遺跡の範囲が、最も西側の竪穴住居跡から更に西側へ120メートルほど広がったことになり、尖石縄文考古館の小池岳史学芸員は「縄文集落の構造を解明する上でも大きな成果になった」としている。
調査は昨年度から始まり、遺跡西側の民有地計1万2千平方メートルを調べている。昨年度は南西約3500平方メートル分を調査、縄文中期中頃の竪穴住居跡が2カ所見つかっている。当初2カ年計画で進めていたが、来年度以降に期間を延長。本年度は5月から対象約4500平方メートル(市有地1区画、民有地2区画)のうち775平方メートルを調査した。
貯蔵穴らしい土坑は、最西の住居跡から更に西へ約100メートルに直径1・4メートル×深さセンチ、同120メートルに直径1メートル×深さ30センチのものがあった。いずれも土器などの出土がないため時期が判明しないが、土の色や固さ、規模、形状などから縄文時代に食料を貯蔵していた穴の可能性が高いという。
また柱穴とみられる土坑は、貯蔵穴の南側に並行する形で見つかっている。直径30センチ前後の穴の断面中央に、柱が立ち腐れしたらしい痕跡があり、一つは土の色から見て縄文時代のもの、もう一つは埋まった土と地面の土の境が明確で、縄文時代より後のものではないかとされる。
小池学芸員は「1991年の試掘調査でも、今回の調査地と遺跡境界の間から住居跡は見つかっていない。予想通りの結果だが、土坑群の可能性もあり、集落を構成する要素が確認できたのは大きな成果。遺跡の価値も高まった」と話し、地権者の同意も得た上で特別史跡の追加指定も目指したいとする。(写真は今回の調査で新たに見つかった土坑)