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日本聖公会岡谷聖バルナバ教会 国登録有形文化財に
2018年11月17日日本聖公会岡谷聖バルナバ教会(本町)
国登録有形文化財に
製糸業支えた工女心を癒やす
国の文化審議会文化財分科会は16日、岡谷市本町4、日本聖公会中部教区岡谷聖バルナバ教会を国の登録有形文化財に登録するよう文部科学大臣に答申した。製糸業を支えた工女たちのために建てられたとされる、畳敷きの前室や会衆席など和の要素も取り入れた建築が特徴。市教育委員会によると、正式に登録されると市内では2011年以来で、合わせて8カ所、24件目になる。
市教委によると、聖堂は1928(昭和3)年に建設された。木造の一部2階建てで、建築面積は121平方メートル余り。市中心部に位置することや、当時最新の木造技術を使った高くて広い無柱空間、畳敷きや寺社風の装飾といった和の要素などが特徴とされる。名古屋市に本部がある中部教区が所有する。
聖公会は、イングランド国教会を母体とするキリスト教宗派。バルナバ教会は、23年から岡谷で本格的な布教活動を始めたカナダ聖公会の宣教師、ホリス・ハミルトン・コーリー司祭(1883〜1954年)が創建した。現在も、市内のほか県内外の信徒約20人が礼拝に通う。
教会は当初、活気があった下諏訪町、諏訪市への建設が求められたが、岡谷の工女のためにとコーリー司祭が受け入れなかった経緯がある。そのためカナダ聖公会から援助が受けられず、独自に資金を集めた。その思いは内装にも込められ、畳敷きは工女の「腰掛けて働いているので、教会では畳に座りたい」という要望を反映したからという。
岡谷蚕糸博物館の高林千幸館長(67)「親元から離れ、頼れるのは友達しかいないという工女の心の慰みになった場所の一つでは」とし、「岡谷で蚕糸業が発展したのは、環境、原料、人物など総体的な理由がある。工女をいろいろな人が支えたのも理由の一つで、そのことを伝える施設の登録はうれしい」と話す。
写真=国の登録有形文化財に登録される岡谷聖バルナバ教会㊤
工女の要望を反映したという畳敷きの礼拝堂㊦