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花葉に3世紀の歴史 市博物館で特別展始まる
2018年9月16日 江戸時代に諏訪高島藩士が採取して、大切に保管し、国内で最も古いとお墨付きを得た押し葉、押し花資料25組が、15日から諏訪市博物館で始まった特別展「日本最古?諏訪で発見された300年前の押し葉・押し花」で公開された。今もきれいに残る押し葉などに「3世紀がたっているのにどうして」と来場者も感嘆の声を上げている。10月14日(日)まで。
押し葉、押し花は、桜の花や葉、松の葉など。いずれも形がくずれることなく、姿をとどめている。押し葉を包んだ和紙に、採集地などが記載されていて、年代が明らかな14組は、1719(享保4)〜24(同9)年の記述があった。
連携協定を結び、市博物館と共同研究に当たる国立科学博物館(東京上野公園)の調べで、採取記録が残る日本産植物資料では19年のものが国内で最古と確認された。採集地は現在の大阪府や滋賀県のものが13組。科学博物館の保存修復作業で、1、2点セットにして、年代別の13組の台紙に分けた。
高島藩は江戸時代、大阪城の城番に加勢して警護に当たる大阪加番(かばん)という役目を務めていた。押し葉などを採集した渋江隼之丞(のち民右衛門古伴)は4代藩主忠虎の小姓として藩主の側に仕えていて、大阪加番の際に採集したことが記述などから分かる。
展示では隼之丞関係や大阪加番に関する古文書、江戸時代の本草学や諏訪の植物研究者の資料なども紹介。なぜ隼之丞が押し葉などを後世に残したのかを考えてもらうアンケートを行い、来場者も参加できる企画もある。国立科学博物館産業技術史資料情報センター長の鈴木一義さんの講演は22日(土)午後1時半から。入館料のみで聴講できる。
初日はオープニングセレモニーがあり、市理事者や市議会関係者らが開幕を祝った。中島透学芸員は「300年前のものが同じ形で残っていることにすごさがある。ぜひ歴史の重みを感じてほしい」と話す。きょう16日午後1時半から、「押し葉で作るかんたん工作」も企画する。問い合わせは同館(電52・7080)へ。(写真は、台紙に収まり保存された押し葉、押し花を見るセレモニー出席者)