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 超小型巻き取り装置開発

2018年8月25日

クモの糸巻き取り装置180824 のコピー
蚕糸機器製造販売・ハラダ
強度、延伸性に優れる注目素材「クモの糸」
 超小型巻き取り装置開発

 岡谷市長地小萩2、蚕糸機器製造販売のハラダ(原田昌幸社長)は、クモの糸を巻き取る超小型の装置を開発、24日地元商工業者や住民、蚕糸関係者に実演披露した。強くてよく伸びるクモの糸は、世界的に注目される新素材。研究は進んでいない中、実用化に向け弾みがつきそうだ。
 クモの糸を研究する信州大学繊維学部応用生物科学科の助教、矢澤健二郎さん(32)の研究室が、これまでなかった専用の装置を蚕糸部門で実績のあるハラダに依頼、3カ月で完成させた。
 装置は、横18センチ、高さ13センチ、幅15センチで手に載る大きさ。単3電池4本を電源に、モーターで直径6センチの枠を回転させ、クモの尻からはき出させた糸を巻き取る。巻き取り速度も調節できる。
 クモの糸の直径は、千分の5ミリで、生糸の7分の1の細さ。軽くて強く、よく伸び、糸を破断させるために必要なエネルギー(タフネス)も高いのが特徴。強度、延伸度、タフネスとも生糸の2倍前後という。
 この分野の研究は、米国を中心に、1990年代から防弾チョッキ利用などの軍事目的で活発化した。大量生産のためには課題も多く、実用化はまだまだだが、手術の縫合糸や、石油由来素材の代替えとして、車部品など日常材料に利用できる可能性があるという。
 信大で研究に取り組む矢澤さんは「装置を使って、回転速度や湿度などの違いによる糸の強度を調べるほか、繰糸を見てもらうための教育機材として使いたい」。開発に携わった同社会長の原田尹文さん(78)は「小型化に苦労した。巻き取り装置としては世界最小ではないか。児童や高齢者に繰糸の実演をするのにも最適。シルクを横糸、クモの糸を縦糸にした世界初の織物も夢ではない」と話している。
 写真=右側のスポンジに挟んだクモの尻から糸を取り出し、巻き取る装置