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シルクのシャツ完成
2018年7月6日シルクのシャツ完成
吉田館のスーツ生地使い
1873(明治6)年創業の旧製糸会社、吉田館(加茂町1)のシルクスーツ生地を使った半袖シャツが出来上がった。これまでも小物作りなどで、活用法を模索してきた池上洋服店(川岸上1)の池上竹志さん(64)が仕立て、5日には見本を同社に持ち込んだ。「軽い」「風通しがいい」など反応は上々で、池上さんは「伝統を誇る製糸会社に残る生地を有効に使わせてもらいながら、シルク岡谷の発信に少しでも役に立てれば」と語る。
創業から110年余りの歴史を持つ吉田館は、時代のあおりを受けて1991年に製糸業を廃業。代表社員の吉田光宏さん(61)によると、当時は商品にならない取り始めと取り終わりの糸を活用し、つむぎのような風合いのスーツ生地を作り、販売していたという。
廃業後、長さ1500メートル、男性スーツに換算すると250着分にもなるという大量の生地が見つかった。それを知った池上さんは「何とか商品化したい」と2015年からサンプル作りを始め、現在までに名刺入れやポーチ、小銭入れなどを完成させている。
アロハシャツをイメージしたといい、厚めの生地に反して軽く、通気性がいいのが特徴。吉田さんは「生地は放っておけば劣化し、廃棄せざるを得なくなる。池上さんがいろいろな発想で、観光の素材にもなるよう試行錯誤してくれるのはありがたい」と感謝する。
市観光協会によると、市内を訪れる観光客からは糸になるまでの過程は見られるものの「これがどういう製品になるのかが分からない」という声があるという。「小物や衣類など、岡谷に来ればシルク製品もあるというイメージの定着につながれば」と期待する。
シャツは、注文があれば販売する。問い合わせは池上さん(電090・4742・1896)へ。
写真=完成したアロハシャツの出来栄えを見る池上さん、吉田さん(右から)ら