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ニッコウキスゲなどに県が忌避剤の実証試験
2017年7月14日
県自然保護課は12日、樹木用忌避剤をニッコウキスゲなどの草本植物に散布してニホンジカの食害対策の効果を確かめる実証試験を始めた。3カ年計画で昨年度から取り組む。2年目の本年度は9月上旬まで、2〜3週間に一度のペースで散布し、効果などをモニタリングする。
ニホンジカの食害対策は現在、防護柵(電気、鋼鉄)だが、労力がかかり、コスト面でも課題があることから、省力化、低コスト化が期待できる忌避剤散布を新たな対策として、実証試験を行って検討する。
本年度は、試験地を蛙原(ゲエロッパラ)から車山肩に変更した。初日は忌避剤12リットルを300平方メートル(20×15メートル)の草原に噴霧器を使って面的に散布。今後、ニッコウキスゲなどの花芽の食害の差異を同じ面積の非散布区と比較し、植生調査も行う。
自然保護課によると、忌避剤は「保土谷アグロテック」(東京都)が製造する全卵粉末水和剤(全卵粉末80%、鉱物質微粉など20%)。成分は全て天然素材で人体への悪影響はなく、指定の用法に基づいて使用すれば、環境への影響も極めて少ないという。
同課は「忌避剤の効果が実証されれば、食害対策の選択肢が広がり、防護柵が設置できない場所でも食害が防げるようになる」と実証試験に期待を寄せている。
昨年度の実証試験では、ビオラなど3種類の花を使った食害試験では忌避剤の効果が確認されたが、面的散布試験では試験地内にシカが出没せず、データが得られなかったという。
(写真は、噴霧器を使って忌避剤を散布する関係者)