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諏訪湖で水質浄化実験 ウィザースが装置設置

2025年3月31日


 諏訪、上伊那地域の企業経営者らでつくる環境事業会社ウィザース(箕輪町)は昨年10月から、水質浄化装置を使った諏訪湖の浄化実験を岡谷市湊の花岡第三船着場で行っている。諏訪湖や天竜川の浄化で湖周や下流域のにぎわい創出、商業振興につなげる狙い。効果を見極めて、台数の拡大にも意欲を示す。
 装置は、岡山県の水質浄化事業「es(イーエス)」が開発した「BENTEN(ベンテン)」。湖から取り入れた水をナノバブルと呼ばれる微細な気泡を含む水に調整し、再び湖へ戻す。同社によると、低酸素状態にある湖水にナノバブルを供給すると微生物が活性化し、汚れや汚泥の分解が進むという。4年ほど前から琵琶湖や大阪湾など各地で設置が始まり、諏訪湖で17カ所目になる。
 県諏訪建設事務所から1年間の稼働許可を得て、昨年10月に設置。12月から2月末までは装置の凍結を避けるため稼働を一時停止し、今月から再開させた。ウィザース創設メンバーの一人、廃棄物処理グリーン(伊那市)の小林源吾社長は「例年、夏にかけてアオコが発生してくるが、BENTENの浄化効果が明確に分かるはず」と話し、客観的な評価のために定期的な水質検査を続けるという。
 初期導入費用は約2500万円で、創設に関わった小林さん、アイ・コーポレーション(岡谷市)の花岡毅社長、テンホウ・フーズ(諏訪市)の大石壮太郎社長のほか、環境問題に関心を持つ個人などの提供資金で賄った。湖全体の浄化には10台程度が必要とみられ、小林社長は「設置数拡大へ、今後は自治体を含め幅広く協力や出資を募りたい」とする。
 29日には現地で周辺住民や自治体、漁業団体などの関係者約50人を招いてお披露目説明会を開いた。花岡社長は「天竜川下流域のためにも、諏訪湖の浄化は地元の使命。装置が大きな効果を生んでくれれば」とし、近隣に住む50歳代の男性は「効果が出てくるか楽しみにしたい」と話した。(写真は湖畔に取り付けた「BENTEN」を見学する説明会の参加者)