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辰野町民会館前の桜この先も 樹勢衰え樹木医の男性無償で手入れ
2025年3月21日
辰野町のほかの桜に先駆けて咲くことで知られる町民会館前のタカトオコヒガンザクラで、樹勢回復に向けた作業が行われた。近年、衰弱が目立っており、町内にある貴重な樹木の診断を担う樹木医の男性(78)=千曲市=が見かねて救いの手を差し伸べた。田村さんは「徐々に回復し、3年もすれば元気になるのでは」としている。
桜は同館と辰野図書館の間にあり、高さ約5㍍、目通り(人の目の高さ)周囲約20㌢。町女性団体連絡協議会の前身の町婦人団体連絡協議会が発足10周年を記念して1993年に苗木を植え、現在は町教育委員会が管理する。毎年、町内の桜の中で比較的早く開花し、町に桜の季節の到来を告げている。
そんな町民に親しまれている桜だが、近年は樹勢が衰えていた。「てんぐ巣病」となり、枯れ枝が増え、樹皮にコケも付着していた。男性によると、根元に植わるサツキと土壌の養分を競合していることや、根元を歩く人によって土壌が踏み固められて酸素が入りづらくなったことなどが原因という。
作業は15日に実施し、男性が所属する樹木研究会会員と町内造園業者ら5人も参加。根元の土を20〜30㌢掘り起こし、土壌改良材を混ぜた土と入れ替え、わらを敷いた。根元のサツキを移植し、周辺を踏まれないよう保護柵を設置。枯れた枝の剪定(せんてい)や樹皮のコケの除去もした。ボランティアとして行い、費用は全て負担した。
「記念樹を枯らしてはいけないと思った」と男性。「植えた人たちの気持ちに添うよう、今後も10年、20年と頑張って咲いてほしい」と期待する。
毎春、桜の開花宣言をする宮澤和徳教育長は「教育委員会ではできない作業をしてくれた。本当にありがたい」と感謝。「元気になった桜が、また町民を楽しませてくれたらいい」と話している。
(写真は、男性によって樹勢回復作業が行われた町民会館前のタカトオコヒガンザクラ)