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「御神渡り」観察始まる 7季ぶり出現に期待

2025年1月6日


 二十四節気の「小寒」を迎えた5日早朝、凍った諏訪湖面が割れ、せり上がる現象「御神渡り」の今季の観察が舟渡川河口(諏訪市豊田)で始まった。観測記録が残る1443(嘉吉3)年から始まり583年目。記録や認定、拝観などの神事をつかさどる八剱神社(諏訪市小和田)の宮坂清宮司(74)と氏子総代30人が湖岸から湖面を眺め、宮坂宮司は「気温が低く、風もなく良い条件でのスタートとなった。ことしこそは湖上に立って、御神渡りの拝観式を行いたい」と7季ぶりの出現に期待を込めた。
 朝焼けが広がる快晴の同日午前6時半ころの現地の気温は、氷点下6.8度。岬付近の水温は3.0度、風速0メートルで、観測地点(河口側)の沖合2メートルほどに厚さ0.5センチ、西側の入り江には1.5センチの薄氷が張り、波のない静かな湖面だった。
 宮坂宮司は観察後のあいさつで、「セミの羽のような氷が流れ、観察開始早々に透明な氷が見られたのはうれしく、ありがたい兆候。昨年と比べ、今季の年末年始は例年よりやや寒く、期待度も『羽ばたくくらい』ある。あすが楽しみ」と笑顔で所感を述べた。
 観察は「立春」の2月3日(月)まで約1カ月間、続ける。任期3年の初年となった氏子総代の岡崎広幸大総代(63)=諏訪市=は「岬左岸の湾には一夜氷も張り、期待が膨らむところ。ここに来るみんなの思いは一つだけ。それに向け、精進して1カ月間の観測を務めたい」と願いを込めた。
(写真は、観測地点近くの入り江の薄氷)

 ▼御神渡り 氷点下10度前後が数日続くと諏訪湖が全面結氷し、寒暖差で氷が膨張と収縮を繰り返してできた亀裂が隆起し、対岸に貫く自然現象。御神渡りの記録では室町時代の1443(嘉吉3)年から約580年続き、八剱神社が結果を「御渡注進状」として当時の幕府、やがては諏訪大社上社を通じて宮内庁へ言上、気象庁へ報告を続けている。2018年2月以来、出現していない