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シルク岡谷なぜ世界一に? 慶応大ゼミ考案のカードゲーム商品化
2024年11月26日
岡谷市内に研究室を置く慶応義塾大学経済学部のゼミ「藤田康範研究会」は、製糸業で栄えた市の歴史などを学べる「シルクおかやカードゲーム」を商品化した。副題は「なぜ、シルク岡谷は世界一になったのか?」。岡谷を「日本の産業革命の発祥の地」としてPRする藤田教授(56)は「子どもたちが歴史に誇りを持つ切っかけになれば」と期待する。
カードゲームの開発は、諏訪地域の魅力を若者に広めようと2016年から進める研究の一環。中央町の旧山一林組製糸事務所内にゼミを開設した昨年7月以降に着手し、これまでに3種類を考案した。その中で、トランプのポーカーに近い遊び方という第1弾を商品化。岡谷蚕糸博物館の高林千幸館長が監修し、デザインは地元のグラフィックデザイナー小平陽子さんらが担った。
産業革命を支えた繊維産業に着目し、カードは材料の「繭」と「綿花」、生産の「生糸」と「綿糸」の主に4種類。5枚の手札を交換し、いずれかの種類をそろえて得点を競う。輸出先の市場の状態を表す「時代」カードがあれば、加点される仕組み。中心になって開発した4年の吉田起樹さん(22)は「面白さを残しつつ、岡谷の魅力を伝えられるゲームになった」と話す。
200セットを作り、このうち50セットを市に寄贈。市内全小中学校で活用してもらいたい考えで、併せて藤田教授が各校で講義をすることも計画する。
22日には市役所で贈呈式を兼ねた完成報告会があり、藤田教授と学生4人が早出一真市長と、宮坂享教育長にルールを説明。早速、2人に遊んでもらった。早出市長は「小中学校や教育施設に配布し、見て触ってシルクの歴史や文化を理解してもらいたい」と述べた。
価格は初版限定で税別1200円。岡谷蚕糸博物館や市内書店での販売を予定している。
(写真は、完成したカードを持つゼミの学生 記事中、高林蚕糸博物館長の「高」は「はしご高」が本来の表記)