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実割れ、カメムシ被害深刻 下諏訪町内リンゴ果樹園
2024年11月18日
リンゴの主力品種「サンふじ」に亀裂が入る「実割れ」の被害が県内各地で報告され、下諏訪町内では贈答用の出荷を見合わせる生産者も出始めた。赤砂地域を中心に数軒がリンゴ栽培に取り組んでいる町内では今シーズン、実割れのほか、カメムシ大発生による褐変被害が深刻で、生産者の高齢化や後継者難の問題に加え、生産意欲低下につながらないか懸念されている。そんな中、町内移住者が17日、果樹園の一つでリンゴの収穫を手伝い、落ち込んでいた生産者の気持ちを和ませた。
東赤砂の果樹園でリンゴなどの栽培を手がける女性(65)によると、ことしは生産したリンゴの8割が実割れかカメムシの被害を受けた。「カメムシが大発生して春から覚悟していたが、ふじになって実割れも目立ってきた。長年リンゴを栽培しているが、こんなことは初めて。(傷んでいるため)贈答用の販売はできず、ジュースにしている」と嘆く。
実割れは気候変動が影響しており、女性によると高温が続いた後、急に激しい雨が降り、乾いて硬くなった実が水分を吸って割れたとみられる。町農業祭果樹共進会(今月9日)の審査を担当した県諏訪農業農村支援センターによると、カメムシ大発生は「本来は寒さで死んでしまうはずの成虫が、暖冬で越冬したため」で共に異常気象が影響。カメムシに吸汁された実は、刺された部分が褐変してくぼみ、味に大きな影響はないものの、見た目が悪くなる。ことしは猛暑による焼けや着色不良も発生し、いわゆる「はねだし」が目立ち、リンゴ農家にとっては受難の年となった。
リンゴ栽培は年明けの剪定(せんてい)に始まり、摘花や摘果、一部袋掛けなど晩生種のふじなどを収穫するまで、ほぼ1年間作業が続く。町内生産者は高齢化や後継者難、果樹園周辺の宅地化などの問題を抱えており、女性は「ここ数年、カメムシや実割れが交互に続いていたが、ことしは一度にやってきた。モチベーションは(例年の)半分以下」と話した。(写真は、カメムシに吸汁され、褐変してくぼんだリンゴ)