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諏訪湖背に舞台白熱 湖畔で文楽公演

2024年10月29日


 一般社団法人大昔調査会(諏訪市)は26日、「SUWA×文楽2024」を諏訪市の石彫公園で開いた。国立文楽劇場(大阪市)の伎芸員が、諏訪ゆかりの演目として知られる人形浄瑠璃文楽「本朝廿四孝(にじゅうしこう)奥庭狐火の段」を披露。集まった観客約350人を魅了した。
 2022年に諏訪神社(現・諏訪大社)神宮寺ゆかりの仏像などを一斉公開した「諏訪神仏プロジェクト」の関連イベントとして始まり、3回目。昨年までは岡谷市本町の照光寺で上演してきたが、同演目の舞台でもある諏訪湖にちなみ、ことしは湖畔で無料上演することになった。
 開演に先立ち、御諏訪太鼓伝承者の山本麻琴さんが太鼓を演奏。日が山に隠れ始めた頃、小舟に乗って湖上に登場した八剱神社(諏訪市)の宮坂清宮司が篠笛を奏で、文楽公演が始まった。
 同演目は、上杉謙信の娘・八重垣姫が、許婚(いいなずけ)である武田勝頼の危機を救おうとする物語。夕空を受けながら波立つ湖面、湖上に立つ八重垣姫像を背景に、太夫と三味線、琴、そして特別参加の山本さんの太鼓が奏でる義太夫節と、人形遣いたちが繊細に操る人形の動きが溶け合った舞台に、観客はじっと見入った。
 物語の最後、諏訪大明神の力によって現れた白狐の加護を受け、姫が凍った諏訪湖を渡ろうとする場面では大きな拍手が続いた。演目終了後、ライトアップされた八重垣姫像を背に人形遣いたちが人形と共に登場する演出もあった。
 鑑賞した美術科教員の男性(53)=諏訪市=は「諏訪湖を借景とした最高の舞台。幻想的なひとときを体験できた。作品制作にも生かしたい」と話していた。
(写真は、諏訪湖畔で上演された文楽)