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蚕糸博 ドレス、再現アトリエ並ぶ 桂由美さん企画展
2024年8月23日
4月に逝去したブライダルファッションデザイナー桂由美さんの作品を集めた企画展「Yumi Katsuraの世界」が22日、岡谷蚕糸博物館で始まった。ドレス8点を中心に、アトリエの再現コーナーや桂さんの年表などを並べ、功績やシルクの素晴らしさ、岡谷との関わりを発信している。11月10日(日)まで。
桂さんのドレスが同館に展示されるのは、現在の場所に移転した2014年と、移転5周年を迎えた19年に続いて3回目。今回は同館の開館60周年、移転開館10周年の記念事業として岡谷市が主催した。生前、桂さんが快諾して実現し、市にも足を運ぶ予定だった。
展示するのは全て、桂さんが手がけたドレス。ウエディングドレスは17年制作の1点で、着物のお引きずりをヒントにしたというデザイン「ユミライン」の作品。全体にシルクの糸刺しゅうが施されている。「日本の伝統美」を表現したという7点は特に思い入れが強かったといい、デザイナーと共に本人が出品を決めたという。
再現されたアトリエには、桂さんのデザイン画やドレスに用いる生地、素材などを展示。パリ・コレクションの写真や映像もある。桂さんの等身大パネルを置いた撮影コーナも設けた。年表では、桂さんがブライダルの事情視察へ海外を巡った1963年以降の歩みを紹介。併せて、64年に開館した同館の歴史や桂さんと髙林千幸館長との出会いなども紹介する。
初日は、桂さんが立ち上げた会社のデザイナー森永幸徳さん(58)と、藤原綾子さん(57)による展示解説があった。森永さんは「ウエディングドレスを作る人間にとって、シルクは切っても切り離せない素材。岡谷で素晴らしい展示ができるのをうれしく思う」とあいさつ。藤原さんはドレスを解説しつつ、「日本の大事なテクニックや伝統美を現代の衣装に、という気持ちの表れで作った作品。一つずつそれを感じてもらえたら」と話した。
開館は午前9時〜午後5時。水曜と祝日の翌日は休館。10月2日(水)は開館する。入館料は一般510円、中高生310円、小学生160円。諏訪地域の小中学生と市内在住、在学の高校生は無料。問い合わせは同館(電0266・23・3489)へ。
(写真は、初日はデザイナーによる展示解説があり、多くの人が訪れた)