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信州高遠美術館で江崎孝坪生誕120年展
2024年6月7日
伊那市高遠町出身の日本画家、江崎孝坪の生誕120年展が、信州高遠美術館(伊那市)で開かれている。新たに同館収蔵となった戦争画「基地」を含むびょうぶ、軸装、額装など計17作品のほか、表紙絵や扉絵を手がけた書籍が並ぶ。会期は8月18日(日)までで、今月9日(日)までは入館無料。
江崎は1904年に生まれ、17年に伊那尋常小学校高等科卒業後、画家を目指して上京。呉服店で和服などの図案を描く傍ら、蔦谷龍岬に師事して山水画を学んだ。27年、帝展で「晩秋」が初入選して以後、日展を中心に活動。35年に前田青邨に師事し、歴史画を中心に修業。戦争を古代や平家・源氏の武士たちに重ね合わせ、心情をおおらかに描いた。
今展で初お披露目となる「基地」は42年の新文展に出品された作品で、高さ2.2メートル、幅2メートルの二曲一隻のびょうぶ。戦闘機を整備する5人と、戦場に出かける4人を中心に、兵士が空を見上げる様子が描かれている。
初展示のびょうぶ「高野草創」「山之秋」など借用作品のほか、挿絵を描いた小説なども合わせて並べ、画業を回顧する。同館は「これだけの大作を同時に展示するのは初めて。特徴でもある人物のふっくらとした表情をぜひ見てほしい」と話している。
午前9時〜午後5時。火曜と祝日の翌日は休館。入館料は大人500円、高校生以下は無料。問い合わせは同館(電0265・94・3666)へ。
(写真は、新収蔵作品の「基地」)