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鳥獣被害防止へ唐辛子試験栽培 諏訪地方で初 八幡屋礒五郎と契約

2024年5月18日


 下諏訪町農業技術者連絡協議会(農技連)は本年度、七味唐辛子の製造販売「八幡屋礒五郎」(本社・長野市)と契約し、唐辛子の試験栽培に取り組む。提供された苗を農家が育て、収穫物を買い取ってもらう仕組みで、諏訪地方では初。唐辛子は食害に遭いづらいとされ、町内農家の多くが頭を悩ませる有害鳥獣被害の防止につなげる。
 町内農地の大半を占める中山間地域では、鳥獣被害が多く、食害に遭いづらい新しい品種を探していた。農技連会員で県諏訪農業農村支援センターの技師に相談し、高齢者でも扱いやすい軽量の唐辛子に着目。同社が県内で契約農家を探していることを知り、依頼した。本年度は17の個人・団体が契約し、4096株を栽培する。
 同社によると、取り扱う唐辛子のうち国産・県産は全体の約2割にとどまり、ブランド価値向上や100%県産材料の商品作りのため契約農家を募っている。個人農家では県内約70人と契約しているという。
 栽培するのは、同社が信州大学と共同開発した新品種「信八」。寒さに強く、背丈が低いため支柱が不要で、手間がかからないという。9月下旬〜10月に収穫し、1、2カ月乾燥させた後、実をもぎ取って納品する。集荷期間は3月末までで、冬の農閑期に作業できるメリットもある。
 17日は、同社牟礼工場(飯綱町)農業担当の禰津良輔さん(33)による説明会が東赤砂の契約者のほ場であった。契約者や農技連事務局など約20人に信八の特徴や育て方などを解説し、苗を配布。禰津さんは2カ月に1回、生育状況確認のため各ほ場を訪れるといい、「鳥獣被害対策や遊休農地の活用として、農家さんの利益になるといい。諏訪地域での契約栽培は初めてなので、視察を通して勉強させてもらいたい」と話した。
 契約した東町中の女性(76)は約260株を持ち帰り、「網を張っても、何でも鹿に食べられてしまっていた。自家用で少し育てていた唐辛子は被害に遭わなかったので、良いタイミングと思って飛びついた」と期待していた。(写真は八幡屋礒五郎の社員から苗の育て方を教わった参加者)