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「シルク岡谷」未来へ フェアで各所多彩な催し

2024年4月30日


 日本の近代化をけん引した「シルク岡谷」の継承に向けた「2024シルクフェアinおかや」が29日、岡谷市内各会場で開かれた。蚕糸やそこから派生した醸造、更には未来を見据えた現在進行形の取り組みなどが各所で繰り広げられ、来場者は先人や「お蚕さま」への感謝の思いを新たにするとともに、今なお岡谷に息づく産業の姿を目の当たりにした。
 岡谷蚕糸博物館前で行われたオープニングでは、主催する実行委員会の味澤宏重委員長があいさつ。28回目を迎えるフェアが「長い歴史を積み重ね、その間に会場も少しずつ増えて、それだけ協力していただける方も多くなった」と感謝。「シルク岡谷の歴史も少しずつ浸透してきているのではないか。これからもフェアを通じて歴史の継承、シルク製品をアピールしていきたい」と力を込めた。
 各会場では機織りや糸取り、工作、実験、物販、音楽イベント、製糸から派生したみそ醸造にまつわる話、関係施設の公開など盛りだくさんの企画が行われた。旧山一林組製糸事務所では、岡谷絹工房が機織り体験を計画。間近で見た人は「初めて見た。思っていたより精密に機織り機ができていて、種類も複数あって驚いた」と話した。
 蚕糸博物館併設の宮坂製糸所では、上州式繰糸機で糸取り体験。授業で同館の学芸員から養蚕、糸取りを教わってから「お蚕さま」のファンになったという山形小学校6年生(11)は「見た目が白くてかわいいお蚕さまが好き。学校ではペットボトルを使った糸取りだったので繰糸機は便利だけれど、気を付けなければいけないこともたくさんあって大変」と工女の苦労を実感していた。
 同フェアは毎年、「シルク」の語呂合わせで4月29日に実施。蚕糸業関係者や岡谷商工会議所、市、市教育委員会などが実行委を組織し、今回はスタンプラリー対象の10会場のほか、リニューアルした蚕糸公園などでも行われた。
(写真は、旧山一林組製糸事務所で機織りの様子を見守る来場者)