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小野酒造店 苦境乗り越え160周年
2024年4月30日
辰野町小野にある「夜明け前」蔵元の小野酒造店は、ことし創業160周年を迎える。さまざまな変化やコロナ禍を乗り越えての節目に、6代目の小野能正社長(66)は「飲んでくれる人々や地域住民に支えてもらい、今日を迎えることができた」としている。
同社は1864(元治元)年創業。1951年に株式会社となった。72年には小野ゆかりの作家島崎藤村の生誕100年を記念し、夜明け前を発売。国内外の品評会で高い評価を受けており、町内唯一の酒蔵として親しまれている。
明治中期に小野を襲った大火では大きな被害を受けたほか、社会や食生活の変化による需要減少にも直面。味や品質を磨くことで対応してきた。近年では、新型コロナウイルスの流行によって売り上げの柱だった外食や会合が激減。情報発信を強化するなど新たな取り組みも始め、乗り越えた。小野社長は「目の前の問題を解決することだけを考えていた」と振り返る。
「国内では若者の酒類消費量が減少傾向にあり、人口も減る厳しい時代」と小野社長。台湾やアメリカなど海外での販売に取り組みつつも「地域の人に喜んでもらえる酒造りという思いは変わらない」と強調。「小野からおいしい酒造りをし、社会に貢献したい」と力強く語る。
これまで支えてくれた愛好者や地域住民に感謝を伝えようと、5月11(土)12(日)両日には、同社従業員らでつくる実行委員会が記念の蔵開きイベント「たのめの里暁祭」を開く。蔵の見学や酒の試飲、搾りたての純米酒の限定販売のほか、飲食ブースや子ども向けのスペース、地元の子どもたちによる演奏会など多彩な催しを用意する。
(写真は、創業160周年を迎える小野酒造店)