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「いわれ」説明板で紹介 岡谷蚕糸博物館の石造看板と記念碑
2024年4月26日
岡谷蚕糸博物館は、1964年の開館当初からある館名の石造看板と、2014年の移転リニューアルを記念してエントランス外に設置したモニュメントに説明板を取り付けた。ことしは8月に新装10周年、10月に開館60周年を迎える節目の年。館にとって大きな二つの出来事を象徴する品のいわれを広く伝え、後世に残す。
石造看板は、旧製糸会社の吉田館(岡谷市加茂町)経営者の一人、吉田泉(1908〜85年)が館名を揮毫(きごう)。移転後は、道路沿いの敷地にある。説明板には、同社が6釜の製糸場として創業してから、525釜を持ち、従業員数は800人を超えるまで発展したことも記した。
モニュメントは「蚕糸営繭(えいけん)の碑」。繭型の三つの石造物で、中心の碑には5齢の蚕が頭をもたげて糸を吐く姿、裏には今井竜五前市長がしたためた「蚕糸営繭」の文字が刻まれている。工場の建築を手がけるなど、製糸業と関わりの深かった総合建設業の興和工業(田中町)前会長の故宮坂友武さんが2019年に贈った。
宮坂さんは自分の名前を出すことを固辞したというが、館を支えた人の行動を後世に伝えようと説明板にいきさつをまとめた。髙林千幸館長は「約束を破る形になるが、風化させず思いを伝えていきたい」。実物を見た同社の宮坂好史社長は「(館に)記念のものを寄贈できたのはうれしい。看板で解説されたのを誇りに思う」と話した。
(写真は、説明板を取り付けた石像看板㊧とモニュメント㊨)