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「箕輪の磊々(らいらい)」刊行 町郷土博物館 本年度資料集

2024年3月29日


 箕輪町郷土博物館は、本年度の資料集「箕輪の磊々(らいらい)」を作成した。1983(昭和58)年に75歳で亡くなった郷土史家・小川守人さん(三日町)が書き記し、町に寄贈した資料の一部を冊子にまとめた。同館は2025年度まで3回に分けての刊行を予定し、今回は第1弾となる。
 小川さんは農業の傍ら、郷土の歴史に関心を寄せ、町の文化財調査委員や博物館協議会委員などを務めた。箕輪遺跡などの出土品を町に寄贈し、「箕輪町歴史行脚」を執筆・刊行するなど郷土史の研究、発展に尽力した。
 「箕輪の磊々」は、小川さんが伝え聞いた話や自らの体験、地域の昔話などの事柄を原稿用紙に書き表したもの。家族が19年に考古資料や絵図などと共に町に贈り、同館は20年度の特別展で一部を紹介した。
 資料集の刊行は、町民からの聞き取り調査をまとめた昨年度の「私の記憶」に続く第2集。主に昭和40〜50年代初めの事柄240作を掲載する。一部は読みやすいよう現代文に修正し、A4判・92ページにまとめた。
 「千社参り」では、出征軍人の健勝を願って社寺から道祖神、地蔵までに千枚の札を貼って祈願した戦時中の様子を紹介。「村はずれの庚申様や石仏にも貼り付けてあった」と振り返っている。
 戦時中、不用品を持ち寄って競りをした「寄せせり」に関しては、「あまり知られていない当時の風習」と同館。自転車店経営者の運転マナーをほめる逸話も挿入するなど、楽しめる内容になっている。
 100部作成し、同館で1部300円で販売する(土、日曜日休み)。「忘れ去られている風習などもあり、昔を感じることができる。明治から昭和の箕輪を感じてもらえれば」と話している。問い合わせは同館(電79・4860)へ。
(写真は、町郷土博物館が刊行した本年度資料集)