NEWS
「上諏訪芸妓」久々復活 美代遥さん大手見番からデビュー
2024年3月6日
諏訪大手見番協同組合に久しぶりの新人芸妓(げいぎ)が誕生した。中洲上金子出身の美代遥(みよはる、本名・前橋亜季)さん(20)で、大学生との二刀流で歩み始めた。大手見番は4年ほど前から実質的に活動を休止していたが、復活した「上諏訪芸妓」の活躍が期待されている。
上諏訪温泉には、戦後の最盛期で数百人の芸妓がいたという。大手見番は花柳界の中心で芸妓を取り次いでいたが、時代の変化で解散。2006年の再建後は、三味線や踊り、長唄などの教室も開いたが、近年はコロナ禍や芸妓の高齢化で活動休止状態にあった。
美代遥さんは諏訪南中学校1年生の頃、テレビで時代劇を見たことを切っかけに、華やかな着物姿に憧れを抱いた。2年生になると長期休暇で京都を訪れ、行儀作法を学びながら入門を目指すようになった。
東海大諏訪高校時代はチアリーディング部で活動する傍ら、大手見番の事務所で三味線の出稽古を受けた。興味のある哲学を学ぶため、中央大学文学部に進んだ後も日本舞踊の練習を続けた。
昨年夏、美代遥さんは「どうしたらいいのか分からなかったんですけど」と、諏訪商工会議所などに問い合わせのメールを送信。紹介された組合の井上保子理事長(75)は「青天の霹靂(へきれき)」と驚きつつ、その熱意に押された。
新人芸妓のデビューは10年以上なく、井上理事長は「熱心で頑張り屋さん。皆さんに育てていただけたら」と期待した。
美代遥さんは「諏訪の水も空気も大好き」と話し、「芸妓さんが歩いていると華やかで、まちに活気が戻ってきたと感じてもらえると思う。地元の人に愛される芸妓さんになりたい」と夢を描いた。
今月1日から組合に所属し、宴会や結婚式などの予約を受け付けている。会場となる上諏訪温泉の旅館や料理店で申し込める。
(写真は、金子市長=左=を表敬訪問した美代遥さん)