NEWS
伝統芸能の技 随所に光る 古田人形芝居定期公演
2023年12月3日
箕輪町教育委員会は2日、本年度の古田人形芝居定期公演を町文化センターで開いた。古田人形芝居保存会と箕輪西小古田人形クラブ、箕輪中古田人形部の3団体が出演。江戸時代から上古田に伝わる伝統芸能を披露し、約230人の来場者が息の合った舞台を堪能した。
郷土芸能の保存や後継者育成を目的に例年、この時期に開く。コロナ禍により、中止や座席制限での開催を経て、昨年から本来の公演に。会員13人の保存会は匠(たくみ)の技を発揮し、児童・生徒は日頃学校で取り組む学習の成果を大舞台で堂々と演じた。
保存会による舞台清めの舞「三番叟」で開演。高学年の有志14人による課外クラブの西小は「傾城阿波の鳴門—順礼歌の段—」を現代口語訳で、部活動として10人で励む箕輪中は西小と同じ外題を文語で発表した。生き別れた娘と偶然再会するものの、名乗ることのできない母親のやるせない物語を情感たっぷりに繰り広げた。
最後は保存会が「壺坂霊験記—沢市内の段—」を披露した。昨年から女性も加わったお囃子(はやし)に合わせ、細やかな人形のしぐさで夫婦の思いやりを心情豊かに表現。生きているかのような人形の動きが会場を魅了した。会員による人形操りの解説もあり、難しさや魅力を紹介した。
箕輪中古田人形部部長は「人形が人間みたいに見えるように操った。みんなが悔いなくできたと思う」とやり切った表情。来年、伝承300年の特別公演を計画している保存会の柴登巳夫会長(79)は「会員の高齢化が悩みだが、伝統芸能に触れて若い後継者が現れてくれれば」と期待していた。
(写真は、「傾城阿波の鳴門—順礼歌の段—」を発表する箕輪中の古田人形部)