NEWS

御諏訪太鼓で日本文化や歴史感じて—インバウンド向けにツアー販売—

2023年11月25日


 御諏訪太鼓の演奏と各種イベント企画、太鼓指導などを行う御諏訪太鼓興業(岡谷市)が新たに、インバウンド(訪日外国人旅行)向けに「諏訪の歴史・文化を体感するプレミアムツアー」商品の販売を始めた。23日には、日本の文化芸能を学びに来日したカナダ人団体を対象にした特別招待ツアーを実施。諏訪市の諏訪大社上社や仏法紹隆寺を見学し、同寺では御諏訪太鼓伝承者の山本麻琴さんによる奉納演奏に耳を傾けた。
 同ツアーは、コロナ禍で演奏機会が激減した諏訪地域の文化芸能のために、新たな演奏の機会を設けようと、山本さんを中心に演奏関係者や文化施設、地域ブランドの創出などに取り組む地域ブランディング研究所(東京都)が連携。インバウンド需要の高まりに着目して、日本の文化や歴史を学びたい外国人に向けた高付加価値のツアーを作り、文化芸能者が活躍できる仕組みをつくることを目的に生まれた。観光庁の「観光再始動事業」の採択を受け、今月からツアー商品の販売を始めた。
 特別招待ツアーは、22日の照光寺(岡谷市)でのミニコンサート、23日の仏法紹隆寺での奉納公演「太鼓と尺八の響き」に併せて実施。両公演に出演したカナダ在住の尺八奏者アルスヴィン・ラモスさんとラモスさんの教室生、カナダの太鼓チーム「ミッドナイト太鼓」のメンバーら18人が参加した。
 山本さんが案内役となり、仏法紹隆寺での公演前に諏訪大社上社を参拝見学。公演後に岩崎宥全住職の案内で寺院内を見学し、普賢堂で山本さんが奉納した「阿修羅(あしゅら)」の緩急自在な御諏訪太鼓の響きに聞き入った。ミッドナイト太鼓メンバーのペギー・ビリンズレイトさん(61)は「特別な体験。どこを見ても素晴らしい。1200年という長い歴史に育まれてきた文化は、カナダでは体験できない」と感じ入っていた。
 ツアー商品には、諏訪大社と仏法紹隆寺を巡り「諏訪の信仰・精神性を体感する本格的な御諏訪太鼓の奉納体験ツアー」と、諏訪大社と下諏訪町の本陣岩波家を巡るツアーの2種類を用意。山本さんはツアーを通して、「自然との関わりを大切にしてきた日本人の暮らしや信仰、守り続けている景観や文化への思いを、海外の人に伝えていきたい」としている。
(写真は、山本さんの御諏訪太鼓奉納を見学するカナダからの一行)