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鉄平石採掘跡の「幕岩」 整備で景観回復 

2023年10月19日


 諏訪市四賀普門寺の里山を再生し、史跡、旧跡を生かした地域づくり目指す「東山地域里山活性化プロジェクト」(伊藤為幸代表)は、諏訪湖カントリークラブ下に位置する鉄平石採掘跡「幕岩」一帯の進入路整備や除伐を進め、眼下に広がる景色やびょうぶのようにそそり立つ採掘跡の景観を回復した。県道諏訪茅野線から至近距離にもかかわらず、そこに別世界が広がる。
 昨年度に普門寺区区長を務めた伊藤代表(63)は「区民が地域の史跡や歴史を意外に知らない」ことに気付き、区内17カ所を網羅した「普門寺区探検散策マップ」を作成した。各史跡を結び付けるには、道路が未整備な場所があることから、順次整えていこうと、賛同者15人で1月にプロジェクトを発足。手始めに幕岩地域の整備を手がけた。
 幕岩は、文化・文政(1804〜29年)から昭和中期まで鉄平石採掘が行われ、現在は痕跡が石の壁になって残る。所有する上桑原地域の財産区の理解を得て、6、8両月に大がかりな作業を実施。2カ所の広場一帯のアカシアなどの雑木を処理、県道からの進入路には一部鉄平石を使いながら砕石や砂利を敷き、約200メートルにわたって幅3メートルの道を確保した。産業廃棄物などが不法投棄され、大型トラック3台分を処理したという。
 広場からは四賀地域と西山一帯の景色が見渡せ、雨が降った翌朝、雲上の桑原城跡が出現する。採掘跡は高さ約30メートルの石壁が垂直に切り立ち、見る人を圧倒させる景観が続く。
 県の地域発元気づくり支援金を受けての整備。チェーンソーを購入したり、足長丘公園内に倉庫を設けて活動拠点にした。伊藤代表は「採掘終了後はほとんど手を入れていなかった場所。来年度はベンチやあずまやなども設け、幕岩下方にある古岩久保への道も整備したい」と話す。この先には、桑原城跡や岩久保観音参道整備も視野に入れる。
 29日(日)午前9時からは、区民にお披露目も計画。区外からの見学も歓迎する。希望者は足長丘公園に集まれば、会員たちが案内する。
(写真は、そそり立つ鉄平石採掘跡)