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豊作や繁栄願い 旧御射山神社で「御狩の神事」
2023年8月28日
尾花ふく 穂屋のめぐりのひとむらに しばし里あり 秋の御射山(金刺盛久)—霧ケ峰高原の旧御射山(もとみさやま)神社で27日、例祭「御射山御狩(みかり)の神事」が開かれ、土地を管理する上桑原牧野農業協同組合(宮坂正組合長)役員らが、農作物の豊作や霧ケ峰一帯の繁栄を願った。
新型コロナウイルス感染症拡大を懸念して、4年続けて参列を組合役員に絞っての開催。観光客を含む約40人が参列した。前島正宮司がほこらの前で神事を行い、宮坂組合長らがサカキにススキの穂を添えた玉串をささげた。
前島宮司は「全国各地の諏訪神社の月次(つきなみ)祭は27〜29日に行うことが多い。この旧御射山神社にならったもの」とあいさつ。宮坂組合長も「災害がなく、コロナの収束を願った」と話した。
2014年から続く神にぎわい奉納行事もあり、新陰流兵法諏訪稽古場の2人が「燕飛(えんぴ)六箇之太刀」などのほか、「無刀取り」に争いのない世界実現の願いを託した。初参加になる甲陽流兵法富士見町錬誠館道場の2人が戦鎌を駆使した「諏訪神流」と「大元流」を奉納し、周囲を囲んだ観光客らをいにしえの世界にいざなった。
旧御射山一帯は、下社大祝(おおほうり)金刺氏の禁猟地で、太古から御射山祭が行われていたという。特に鎌倉時代には全国的な大祭として、旧暦の7月26日から5日間に開き、集まった武士らはススキでふいた穂屋にこもり、小笠懸(こがさかけ)、相撲、武射競馬(くらべうま)などで武技を競ったとされる。江戸時代中期には、下社秋宮近くの山中へ祭場が移された。(写真は神前に奉納された演武)