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疫病神をやっつけろ!—伊那の天伯社で伝統の「さんよりこより」—
2023年8月8日
伊那市の三峰川を挟んだ二つの天伯社で7日、「七夕」の伝統行事「さんよりこより」があった。美篶川手地区の神社から富県桜井の神社へ、ご神体を納めたみこしを担いで渡し、地元の子どもたちは疫病神(鬼)にふんした大人を飾り竹でたたいて川の平穏や無病息災を願った。
室町時代中期の1427(応永34)年、藤沢村片倉(現高遠町)の「天伯様」が洪水で富県桜井に流され、その後に美篶川手地区に流れ着いた縁で始まったと伝わる。毎年、旧暦の七夕に当たる8月7日に営む。子どもたちが鬼を七夕飾りでたたくのは洪水を鎮める神事とされ、両神社で行われる。
川手地区の天伯社には、園児や小学生ら約150人が集まり、太鼓をたたく鬼役の2人を中心に円陣をつくった。「さんよりこより」と唱えながら3周してから、一斉に飾りを鬼に振り下ろすと、周囲には短冊などが散乱。3回繰り返した後、ご神体を納めたみこしを背負った氏子が出発した。
美篶小学校の児童は「(鬼役は)かわいそうだったけれど、気持ち良かった。コロナがまたはやっているので、なくなってほしいと願いを込めた」と話していた。
(写真は、七夕飾りを手に、鬼役の大人を囲んで回る子どもたち=川手地区の天伯社で)