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洋画家高橋靖夫さんの遺族 遺作を出身の地へ無償譲渡の意向

2023年6月1日

ウエブ高橋
 2021年に83歳で亡くなった岡谷市出身の洋画家、高橋靖夫さん。神奈川県に拠点を置く一方、頻繁に通った市内のアトリエ(銀座)には多数の作品や書籍が残る。遺族によると建物はいずれ手放す予定といい、二男の暖さん(53)=神奈川県=は「父が愛した岡谷、諏訪の地に作品が飾られれば私たちにとっても幸せ。希望する方に無償で譲りたい」とし、晩年に「地にあるものたち」と題して制作したシリーズなど大作約30点の行き先を探している。
 靖夫さんは1938年、諏訪地域の美術界の草創期を支えた高橋貞一郎の五男に生まれた。父と同じ画家を志し、東京芸術大学美術学部油画科を卒業後、62年に国展初入選。女子美大では2004年まで教授などを歴任し、後進の育成に尽力した。故郷でも絵画教室を主宰し、本紙主催「父の絵・母の絵絵画展」では03年から18年まで審査員を務めた。
 遺族はこれまでに女子美大や地元の小井川小学校、山梨県の美術館などに遺作を寄贈してきたが、まだアトリエに残る大作の行き先を思案。公民問わず、飾ってもらえる個人や団体、施設、店舗などに譲ることにした。
 大作はF200号(2590ミリ×1940ミリ)や、P150号(2273ミリ×1620ミリ)が中心。「地にあるものたち」シリーズの中には、P150号を2枚組み合わせて一枚が完成する更に大きな作品もある。
 いずれも靖夫さんの在りし日の姿と重なるようなパワフルさで描かれ、一方で色使いは繊細。暖さんは「人物、静物など知らない方でも親しみやすく、元気をもらえる絵だと思う」と語り、「これだけの大きさだと、飾れる場所は限られるけれど欲しいという方はまず連絡を頂ければ」と話している。
(文中の高橋の「高」は、はしご高)
(写真は、「地にあるものたち」シリーズのうち、2014年制作の作品と暖さん=岡谷市銀座のアトリエで)