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小学館から岡谷市へ武井武雄の資料寄贈

2023年5月26日

ネット用童画館へ武井作品寄贈②
 イルフ童画館は25日、岡谷市出身の童画家・武井武雄が手がけた原画など248点が小学館(本社・東京都)から市に寄贈されたと発表した。寄贈品は1955〜60年代に、同社から出版された絵本や絵雑誌11作品の原画や書籍。戦後の武井の創作活動や考えをうかがえる貴重な資料という。同館が収蔵・管理し、研究を経て2025年をめどに一般公開したい考えだ。
 4月に倉庫から原画を発見したと小学館から連絡があり、今月2日に受け取った。戦後の武井は出版社から原画をほぼ返却してもらっており、200点を超える作品が寄せられたことは「これまでにないと思う」(同館)とする。寄贈作品は「いっきゅうさん」「ほらふきだんしゃく」「かくれみの」など。いずれも保管状態は良好といい、色指定や印刷指示などの書き込み、水彩絵の具やクレヨンの繊細な筆致が見て取れる。
 寄贈作品のうち半数以上を占めるのが、主人公の桃太郎の子孫に招かれた鬼ケ島の村長2人が、現代日本で生活する様子を面白おかしく描いた絵物語「赤ノッポ青ノッポ」の原画131点。日本で伝統的に「悪」とされていた鬼を、初めて「仲間」「友達」として描いた作品といい、画家としての革新性、平和へのメッセージがうかがえる。人気が高く、5社から出版されたが、同館の収蔵品は講談社の原画のみだった。
 山岸吉郎館長は「武井といえばラムラム王のイメージがあったが、赤ノッポ青ノッポへの思いを改めて感じた」とし、「武井が社会をどう思い、子どもたちに何を伝えたかったのかを考える上で非常に大切。調査をして、それがより一層明らかになっていくのではないか」と話していた。(写真は、寄贈資料について説明する山岸館長と学芸員)