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岡屋考古館「知って」岡谷市で月1回開館
2023年5月18日
一般社団法人大昔調査会(諏訪市)は21日(日)を皮切りに、岡谷市本町1にある岡屋(おかのや)考古館の定期開館を始める。1955(昭和30)年に発見された岡屋遺跡の遺物を保存・収蔵するため、62(同37)に民間の手で自発的に建設される一方、長く閉館状態が続いていたが、昨年迎えた60周年を機に再び光が当たり始めた。いつしか存在や意義が忘れられ、地元が続ける維持管理の負担などの課題もある中、同会はまずは「知ってもらうこと」を念頭に「次の一手」として関係者の理解を得て今回の試みを計画。「知ることが、貴重な文化財を守る精神の醸成につながっていけば」と願いを込める。
当時、遺跡の調査や同館の建設は、市民有志で結成した保存会のボランティアと寄付で行われ、現在の維持管理は建物が立地する岡谷十五社の総代会が担う。60周年の前年に当たる2021年には岡谷商工会議所のまち歩き事業「おかやるく」のガイド役で、大昔調査会の運営委員を務める坂間雄司さんが同館を組み込んだコースを案内。節目となった昨年は秋に岡谷美術考古館で企画展、フォーラムが行われるなど注目が集まった。
幼い頃、まだ管理人がいた時代に岡屋考古館に足を運び、フォーラムでも講演した大昔調査会副理事長の三上徹也さんや、坂間さんが「次はどうしようか」と思案する中で定期開館を思い立ち、関係者と調整。10月まで毎月第3日曜日の午前9時〜正午、2人による解説付きで開館することが実現した。
岡屋遺跡は縄文、弥生、古墳と複数の時代をまたぐ「複合遺跡」とされ、「岡屋式土器」の名前が付くほど特徴的な遺物も出土。一方、山中にもかかわらずガラス玉なども見つかっている。三上さんは「遺跡自体も謎が多く、まだまだ夢のある場所」と語り、坂間さんも「よく岡谷は何もないと言う方もいるが、忘れられているだけ。文化財に熱い思いを注いだ先人の気持ちをつないでいく切っかけにもしていきたい」と力を込める。
入館無料で申し込み不要。問い合わせは三上さん(電090・2204・2818)へ。
(写真は、岡屋考古館の前で話をする三上さん(右)と坂間さん)