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土地利用解明の手掛かりに 6月末まで永明中学校校庭遺跡の調査
2023年3月22日
茅野市教育委員会は6月末まで、永明小、中学校の建て替えに伴う社会体育館建設予定地で永明中学校校庭遺跡の調査を行っている。1日の発掘開始以降、土器や住居跡と思われる遺構が見つかっており、担当者は「弥生時代の集落の土地利用が明らかになるのでは」と期待する。
同遺跡は、1970年の永明中学校校庭拡張工事の際に発見された。諏訪地域では珍しい弥生時代の大規模集落跡で、先行して実施した昨年10月の北側区域約300平方メートルの発掘では、時期不明の住居跡1軒と、土坑から横倒しになった弥生時代後期の大型のかめを完全な形で発見した。
今回の調査範囲は、遺跡の西端と考えられる区域約1500平方メートル。弥生時代後期の竪穴住居跡1軒と、土器を埋めたと思われる土坑が2カ所見つかっている。
その一つからは高さ約60センチ、最も広い部分の直径が50センチほどの弥生時代後期のつぼが出土。首(くびれ)から上が割り取られ、昨年発掘した大型のかめと同様に横倒しになった状態で出土したことから、どちらも調理器具や貯蔵容器としての本来の用途ではなく、土器棺墓として転用した可能性があるという。今後、土器の中の土も回収して副葬品などが収められているか確認するとしている。
竪穴住居跡は長軸が10メートル前後と考えられ、諏訪地域では最大規模。中心部は水の流れの跡で削られていて、まだ詳細は分かっていないが、流路があることも踏まえ、かつての地形を明らかにする手掛かりになるのではと期待される。
同市文化財課の堀川洸太朗さんは「これだけ広い範囲を発掘調査するのは、岡谷市の橋原遺跡発掘以来。上の区域(永明小、中校舎建設現場)の発掘では弥生時代の家ばかりだったが、この辺では墓ではないかというものも出ている。住居域と墓域を分けるなど、集落の土地の使い方が明らかになっていくのでは」と話した。
(写真は、今回の発掘で出土した大型のつぼ)