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布橋や入口御門 趣あるこけらぶきに 諏訪大社上社本宮

2022年9月5日

HP上社本宮第1期終了220903
 諏訪大社上社本宮(諏訪市中洲)の重要文化財10棟の保存修理事業で、第1期工事が8月末に完了した。東側の入口御門と布橋が昭和初期のこけらぶきの屋根に戻り、趣ある風情を醸し出している。
 保存修理事業が進むのは、国の重要文化財に2016年2月追加指定された9棟と附(つけたり)の額堂。神馬舎は除く。約250年〜180年前の木造建築のために、老朽化が進み、建物が傾いたり、土台が腐ったりしてきたという。25年末完了を目標に、3期間に区切って事業を進めている。
 第1期工事は20年1月に着手した。解体調査で、布橋は創建(1777年)当時には、現在より東側に約5.4メートル延び、入口御門が創建された1829年にその分を解体して西側へ移したことが分かった。両建物とも1959年まではこけらぶきだったことから、布橋と入口御門の屋根は、大社が隆盛を誇った昭和初期のこけらぶきに戻し、併せて布橋に付属する番所を復元する申請を文化庁に行った。
 布橋のこけら板は、長さ約24センチ、幅6センチ以上、厚さ約4ミリの杉の割り板を使用。竹くぎで固定しながら、約30万枚の板を屋根(約406平方メートル)に張り巡らせた。入口御門は厚さ約3ミリの栗材約9万5千枚を敷いた。布橋には、柱とはりに補強材を入れて耐震対策、自動火災報知器を整備した。番所は大社や市博物館所蔵の写真や残っていた図面を元に復元した。
 (写真は、趣ある姿で参拝者を迎える入口御門とこれに続く布橋)