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元の姿生かし宿泊施設に 江戸末期の農村歌舞伎舞台

2022年6月19日

HPmawari
 40 年前の1982年に、茅野市の菊沢区から岡谷市湊5に移築された江戸時代末期の農村歌舞伎(村芝居)の舞台が、一棟貸しの宿泊施設「小さな泊まれる廻(まわり)舞台mawari」として生まれ変わった。所有者の花岡茂雄さん(75) の「建物を後世に引き継いでいきたい」という願いを、諏訪市の古材リサイクル店「リビルディングセンタージャパン」(リビセン、東野唯史社長)が引き継ぎ、元の姿を生かしつつ改修を施した。24日(金)からの予約受付を前に18日、近隣住民にお披露目された。
 建物は、元々は1850年(嘉永3年)に建てられた農村歌舞伎の舞台で、回り舞台を備え、村芝居の公演に利用され、明治以降は地元の公民館などとして活用されていたという。1981 年に建物が解体されると知った花岡さんが「将来はギャラリーなどに利用できれば」と、眼下に諏訪湖と八ケ岳を一望できる現在地に移築。趣味の骨とう品などを保管していた。
 建物は木造一部2階建て延べ約150平方メートル。改修では傷みのあったトタン屋根の上に新たにトタン屋根をふき、電気、ガス、水道を引き込んだ。1階部分には広々としたスペースのキッチン、古材を利用して制作したテーブル、まきストーブを設置。花岡さんが保管していた家具や古道具もしつらえてある。
 近隣の温泉を楽しんでもらいたいという思いから、シャワーユニットのみ設置。2階部分に大人5人が並んで寝られる寝室スペースがある。内部の太い梁(はり)などはそのままで、「この場所に染み渡る滋味を全身で受け取りながら、農村歌舞伎の回り舞台の中で眠るという体験を味わってほしい」(リビセン)としている。
 近隣住民へのお披露目には花岡さんも参加。生まれ変わった回り舞台に、「農村歌舞伎の舞台は当時のコミュニティーセンター。元々の建物の原点に立ち返ることができた」と話し、生まれ変わった建物に笑顔を見せた。
 「mawari」は一棟貸切1組限定で、運営は下諏訪町の簡易宿泊施設「マスヤゲストハウス」が担う。
(写真は、一棟貸し宿に生まれ変わった農村歌舞伎の舞台)