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初の一般向け養蚕体験事業 桑収穫し脱皮前の蚕消毒
2022年6月13日
「岡谷シルク推進事業」の一環で、岡谷市は初の一般向け養蚕体験を行っている。11日は市内外の3人が桑の葉の剪定(せんてい)と、脱皮前の「眠」に入った蚕の消毒に挑戦。病気に弱い生態から、各農家が気をもんできた歴史を追体験しながら、かつての製糸王国に今なお息づく産業の一端に触れた。
体験は、市の新入職員向け研修として昨年度から始めた。「岡谷シルク」のブランド化を進める中、全国でも数少ない養蚕の現場を体験できる強みを生かし、魅力を味わってもらおうと併せて一般向けにも企画したが、この時は新型コロナウイルスの影響で取りやめ、本年度で改めて参加者を募った。
3人は講師の三沢区民農園や、市関係者らと共に同農園が箕輪町に構える桑園に出向き、蚕の餌になる桑の葉を収穫。当初は4万頭の蚕を育てる蚕室(川岸上)で取ってきた葉を与える予定だったが、「眠」に入っていたため石灰による消毒を入念に行った。
地元川岸地区から参加した女性は「以前から興味があり、たくさんある工程のうち少しでも担えて良かった」と話し、同農園の片倉仁さんは「蚕は病気に弱く毎日、消毒する人もいるくらい大事な仕事」などと説明していた。
同じ内容で行う18日(土)には4人が参加し、7月10日(日)の染め体験で締めくくる。市ブランド推進室の担当職員は「市では、養蚕からシルク製品開発までの担い手育成も進めている。手軽にできる体験から興味を深めてもらい、事業が将来的な担い手の発掘にもつながっていけば」と期待を込めた。
(写真は、市職員の説明を聞きながら消毒をする参加者)