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辰野からボクシング世界王者誕生

2022年6月1日

220531小澤さんベルトネット
 WBO女子世界スーパーフライ級タイトルマッチは5月30日夜、東京・後楽園ホールで行われた。辰野町出身で「たつのふるさとパートナー」の小澤瑶生(たまお)選手(37)が、2—1の判定で王者の吉田実代選手(34)を破り、3度目の世界挑戦で念願のベルトを腰に巻いた。
 小澤選手は下辰野生まれ。京都市のフュチュールジムに所属し、世界挑戦は2018年3月以来。昨年6月に出産してから復帰初戦だった。
 試合のオファーは産後4カ月だったが、ボクシングを始めて10年間、世界王者を目指して積み重ねてきた経験が結果につながった。試合を終えて「応援に後押しされて頑張ることができた。人を動かすのは、人の力だと実感した。これからも人のつながりや縁を大事にしていきたい」と感謝した。
 夫でピアニストの岸本良平さん(38)は長男の緯泉ちゃん(11カ月)と観戦。妻の奮闘を見届けて「普通なら『お疲れさま』や『頑張ったね』と声をかけたいが、普通の言葉じゃ表現できないくらいうれしい」と喜んだ。
 父の小澤俊男さん(72)は「皆さんの応援が力になった。『三度目の正直』で、運命的なものを感じる。決して順風満帆ではなかったが、指導者に恵まれて立派に成長してくれた。いい試合をしてくれて、本当に心から良かった」と感無量の面持ちで話した。
 町内発着の応援バスツアーには、13人が参加した。町民から寄せ書きを募った色紙と町イメージキャラクター「ぴっかりちゃん」の縫いぐるみを携えて、ふるさとの思いを会場まで届けた。
 応援団は、オリジナルうちわをそろえて、テーマカラーのオレンジ色のTシャツを着て客席に並んだ。新型コロナウイルス感染症対策のため声は出せないものの、新チャンピオンの名前がアナウンスされると、割れんばかりの拍手で祝福した。
 応援団長を務めた山田勝己副町長は「夢は諦めてはいけない、努力は必ず報われるということを瑶生さんが証明してくれた。これからチャンピオンとして、挑戦から防衛の立場へと変わるが、持ち前のチャレンジ精神を忘れずに、2度、3度と防衛を続けてほしい」と語った。(写真は、念願のチャンピオンベルトを手にした小澤選手)