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山出し車両で運搬 苦渋の決断 5月の里曳きに望み

2022年2月23日

山出し
 4月の諏訪大社御柱祭山出しへ、大総代でつくる上社御柱祭安全対策実行委員会と御柱祭下社三地区連絡会議は22日、人力での曳行を断念し、上社、下社16本の御柱を車両で運搬すると発表した。両団体が上社本宮で会見し、新型コロナウイルス感染症「第6波」の高止まり状態が続く中、氏子の安全を守るとともに、5月の里曳きを人力で行うための「苦渋の決断」であることを強調した。
 運搬の日時やルートなどは調整中だが、山出し期間中(上社は4月2〜4日、下社は同8〜10日)に上社は1日で、下社は1、2日間での運搬を想定する。従来の曳行路では車両が通行できない場所もあり、一部ルート変更が必要になる見通しだ。
 具体的な方法も検討段階だが、車両に2本ずつ御柱を載せ、上社、下社それぞれの曳きつけ地点である御柱屋敷(茅野市宮川安国寺)、注連掛(下諏訪町)まで運搬する計画。木落しは行わず、上社の川越しは橋の上で御柱に宮川の水を掛ける案も含め検討する。
 上社の木作りは現在、御柱がある仮置き場ではなく、茅野市と原村境にある曳行開始地点の綱置場で行う。運搬の際はめどてこは付けず、里曳きの開始前に差し込む。上社、下社とも曳きつけ地点に車両が入るのは難しい面もあるが、クレーンを使うなど「人が関与しない方向で考える」。
 判断は上社が19日付、下社が21日付。県の感染警戒レベルが「4」以上の場合は車両で運搬する—とした昨年11月発表のガイドラインを順守し、医師らの助言も踏まえて決めたという。
 会見で上社安全対策実行委の笠原透委員長(75)、下社三地区連絡会議の小林正夫会長(72)らは、人力での曳行断念について、感染拡大の状況が見通せない状況下で参加者の安全安心が担保できないこと、「まん延防止等重点措置」が3月6日(日)まで延長されたことに伴う準備不足や練習不足に伴う危険性を挙げた。
 運搬の日程やルート、木作りの日程などは詳細が決まってから発表する方針。(写真は人力による曳行断念と車両で御柱を運搬する方針について説明する大総代ら)