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「糸萱かぼちゃ」出荷始まる
2021年8月24日
茅野市北山糸萱区で明治時代以前から栽培されている信州伝統野菜「糸萱(いとかや)かぼちゃ」の出荷が23日、始まった。鉄分豊富で、ほくほくとしたおいしいカボチャは毎年好評で、県内外に出荷されている。地元生産者有志でつくる糸萱かぼちゃ生産者組合の島立雄幸代表 (81) は「栄養豊富なカボチャをたくさん食べて」と勧める。
かつての鉄鉱石採掘場に隣接する土地柄、普通のカボチャの2~3倍の鉄分を含んでいるのが特長。1905(明治38)年と53(昭和28)年の大凶作では、米に代わる貴重な栄養源にもなったという。2015年からは県の「信州伝統野菜」にも認定されている。現在は108軒が栽培、うち組合には 38 軒が所属する。
組合では昨年、計275.5アールの畑で栽培し、6250キロを収穫。ことしは計290.8アールの畑で7500キロを目指す。昨年は県と信州大学の協力で、栽培に力を入れようと人工授粉を試行。翡翠(ひすい)色に統一されたカボチャにしようと種を組合員に配布して、5月10日前後に植えた。
ことしは天候も順調で、出来栄えも良いという。収穫作業は10月末まで続き、9月からは県連合青果に出荷するほか、地元直売所や飲食店に卸し、給食用に市内学校や保育園へ提供する。初日は地元ホテル、飲食店などに合計約120キロを発送した。
島立代表も55キロを初出荷した。お薦めの食べ方は天ぷらと煮付け。「この地域にはカボチャを食べて命をつないだ歴史がある。コロナに負けないようカボチャを食べて健康になってほしい」と話していた。
(写真は、「ことしも上出来」と糸萱かぼちゃを見つめる島立代表)