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アカボシゴマダラ 民家で羽化 温暖化影響か

2021年8月6日

HPアカボシゴマダラ
 環境省の特定外来生物に指定されているチョウ「アカボシゴマダラ(タテハチョウ科)」の羽化が3日朝、下諏訪町内で確認された。町内男性(79)が羽化の瞬間を写真撮影し、本紙に情報提供してきたもので、同種の分布が県内に広がっている可能性があると警鐘を鳴らしている。
 庭で育てている盆栽の葉が幼虫に食べられているのに気付いた男性が観察を続け、羽化した姿からアカボシゴマダラと断定した。男性によると盆栽は5月の大型連休前はハウスに入れてあり、その後に卵を産み付けて繁殖したらしい。標本作成の経験がある男性はチョウに詳しく、「食性からオオムラサキかと思っていた」と話している。
 国立環境研究所の侵入植物データベースによると、アカボシゴマダラは1995年に埼玉県で初めて確認された。在来種のオオムラサキやゴマダラチョウと同じく幼虫期にはエノキを食べ、競合する可能性がある。
 中国で生息していた種類が人によって持ち込まれ、人為的な「放蝶(ちょう)」などで分布を広げたと考えられ、神奈川県や東京都区内、埼玉、千葉、茨城、栃木、群馬の関東全域のほか、近年では山梨や静岡でも目撃情報があるが、「県内ではまだ確認されていないのでは」(男性)としている。
 繁殖を防ぐため、羽化直後に男性が捕獲して標本にしたが、羽を広げた大きさは7センチほどで、アゲハチョウに似て美しいという。男性は「温暖化の影響からか、県内で目撃されたことのないチョウが、このところ頻繁に見られるようになってきた」と環境の変化を感じている。
(写真は羽化したアカボシゴマダラ)