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砥川改修 今月末完了へ 50年に一度の災害に対応
2021年6月19日
田中康夫県政の2001年に出された「脱ダム宣言」を受け、06年に着工した砥川の河川改修が15年を経て今月末に完了する。100年に一度の災害に耐えられるとされた下諏訪ダムに代わり、川幅の拡張や川底を掘り下げるなど約2倍の水量が流れる「50年に一度の災害に対応する河川」へと、最終盤の工事が進んでいる。
同宣言を受け、萩倉の東俣川に予定した下諏訪ダムの計画が中止。ダムと同等の治水対策を実現するため、砥川の護岸改修と上流での流域対策で対応する方針に転換した。一般町民が参加する「砥川流域協議会」で協議を重ね、人が住む場所を守るため河川改修を優先的に行うことになった。
医王渡橋から諏訪湖までの約2800㍍を、河口から上流に向けて改修。自然の石を積んでいた護岸は、大型ブロック積みに変えて強化し、傾斜をなだらかにするなど川幅を最大10㍍広げ、最も広い場所で26㍍を確保。川底は平均1㍍掘り下げ、堆積していた土も撤去した。
改修により、医王渡橋から福沢川の合流地点までは毎秒220立方㍍、同地点から河口にかけては毎秒230立方㍍の水量が流れるようにし、鷹野橋と富士見橋の架け替えにも取り組んだ。現在は福沢川との合流地点から医王渡橋までの上流に向け、延長420㍍で工事が進む。
河川の拡幅に当たり、田畑や土地を提供した町民もいて県諏訪建設事務所整備課は「50年に一度の災害に対応する、以前よりも安全で安心できる環境が整った。周囲の人たちの協力をいただいてできた」とする。町は「ほかの河川では、30年に一度の災害に対応できるよう整備する所もある中で、安全度を高くしてもらい一段落」としている。
100年に一度の災害対策へは今後、上流域での森林整備などが必要。河川改修が優先だったため協議はこれからで、同課は「まだ具体的な策はなく時期も未定だが、協議会や町と対策を検討していきたい」としている。
(写真は、河川改修完了に向けて工事が進む様子)