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「行峠の松」いつまでも 市内初 松枯れ予防へ薬剤注入

2019年12月11日

HPゆきとうげ
 岡谷市内で2018年8月から4件の松くい虫被害が確認されたことを受け、湊財産区は10日、区有林内のシンボルとして住民に親しまれるアカマツ「行峠(ゆきとうげ)の松」に予防薬剤を注入した。市によると、薬剤の樹幹注入は把握する限りでは市内で初。県諏訪地域振興局主催の研修会も兼ね、市内などの森林、林野組合や区など6団体約30人が発生のメカニズムや防除対策を学んだ。
 行峠の松は、唐傘平近くの市道沢入線の最上部にある推定で樹齢300年以上の巨木。14年には降雪で折れた枝を活用し、木製の笛「樹音(じゅね)」を作製。湊地区では楽器を使った学習グループが活動を続ける。市内で被害が相次ぐ中、財産区が「手を尽くした上で木を守りたい」と市などに相談し、支援を受けて行った。
 松くい虫は、松を枯死させるマツノザイセンチュウを媒介するマツノマダラカミキリが、枝の皮を食べることで感染する。防ぐ方法にはカミキリムシの駆除、線虫に強い松を育てることなどが挙げられ、薬剤注入は入り込んだ線虫の動きをまひさせて被害から守る仕組みという。
 湊公民館で県職員らに松枯れの対策や市内の状況を学んでから、樹幹注入を体験した。県林業薬剤防除協会の会員の指導で、行峠の松と近くのアカマツで実施。カミキリムシが発生する6月ごろに効果が出るよう11月中旬ごろに注入することや、効果が6年ほど続くことなどを聞きながら作業した。
 財産区管理委員会の小口賢一会長(70)=湊=は「ここまで来るのは時間の問題。関係者は戦々恐々としている」と危機感を示しつつ、「早い準備だとは思うが、大切な木をいつまでも存続させたい」と話していた。
(写真は、アカマツに薬剤を注入する財産区管理委員)