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住居跡50軒 完形の土器多数出土 辰野町「沢尻東原遺跡」
2019年9月19日
長野県埋蔵文化財センターは18日、辰野町の委託を受け北沢東地区(北大出)の「沢尻東原遺跡」で進めている埋蔵文化財発掘調査の現地を報道陣に公開した。これまでに縄文時代中期(約5千年前)の竪穴住居跡約50軒の遺構がが見つかり、土器や石器も多数出土。「土器は完形に近い状態も多く、これだけまとまって出てくるのは近年珍しい」という。21日(土)には一般に現地公開する。
調査面積は、天竜川右岸の河岸段丘上に広がる1.8ヘクタールで、遺構からは文様や形などの異なる4形式の土器を確認。数百年の間に、8段階の時期に分かれて6、7軒単位で集落ができたと推測され「生産力が減って越してもすぐに別の人が住み、川が近く、生活しやすい場所と認知されていた」とした。
土器は大きなもので高さ50〜60センチあり、20個以上が出土した遺構もある。諏訪、上伊那地域に分布し、円筒やくびれた形に粘土ひもで装飾する「井戸尻式」に混じり、東信地域などの「焼町式」も見られ、同センターによると、人の交流があったことを示している。
ほかに蛇の頭をかたどった奇形な土器の一部や石を敷き詰めた炉などは、希少な遺物とし、破片を含めると数千点を超える。主任調査研究員の廣田和穂さんは「遺跡の一部でなく、広さや変遷など集落の全貌が分かる近年まれに見る調査事例になる」と話した。
町は調査エリアを含む約7ヘクタールを工場適地とし、企業誘致を図るため、本年度当初予算で約1億5千万円を投じて着手した。
現地公開は午前10時半〜午後3時。午前10時半と午後1時半から約1時間、関係者が調査概要を説明し、土器の出土状況や発掘作業を見学できる。小雨決行。問い合わせは廣田さん(電090・1504・0361)へ。