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「仮面の女神」発掘の様子紹介
2019年8月24日
茅野市尖石縄文考古館は23日、国宝土偶「仮面の女神」の誕生日(出土日)に合わせ、同館を無料開館した。合わせて当時発掘調査に携わった守矢昌文館長が、ギャラリートークで出土時の様子を紹介。来館者に魅力を伝えた。
仮面の女神は、2000年8月23日に湖東の中ツ原遺跡から出土した縄文時代後期の土偶。高さ34センチ、重さ2・7キロで、頭部に逆三角形の仮面が取り付けられ、中が空洞になっているのが特徴で、14年に国宝指定された。これまでには国宝土偶「縄文のビーナス」と共に、09年に英国ロンドンの大英博物館や、18年にフランスのパリ日本文化会館で行われた展示会にも出展。10月には県立歴史館の25周年記念「国宝土偶展」への出展も予定されるなど、注目を集めている。
ギャラリートークは午前と午後2回行い、午前は約50人が参加。守矢館長は「出土時間は午後2時。暑い晴天の日で、『変な物が出てきた』と呼ばれ、見た瞬間土偶だと確信した」と振り返った。折しも旧石器捏造(ねつぞう)事件が起きた年だったことから「掘り出される瞬間を生ライブで放送し、実証した発掘だった」と話した。
造形美の解説に加えて墓の中央部から出てきたこと、右足が意図的に破壊された状態で埋められていたことなどに触れ「何を意味しているかは不明だが、さまざまな情報を与えてくれた。当時は社会情勢が急落していった時代。ミステリアスな側面を持っている」と解説した。
愛知県から家族5人で訪れた男性(37)は「掘り出す際の話は臨場感が伝わってわくわくした。中が空洞になっていることなど、縄文人はすごい技術を持っていると思った」と話していた。
同館は1986年に米沢の棚畑遺跡から発掘された縄文のビーナスの出土日、9月8日(日)も無料開館とする。問い合わせは同館(電0266・76・2270)へ。(写真は「仮面の女神」の出土状況について話を聞く参加者たち)