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慶応大で武井武雄展 学生の研究対象に期待も
2019年6月19日
イルフ童画館(岡谷市)と慶応義塾大学経済学部の藤田康範研究会は27日(木)から7月9日(火)まで、同大日吉キャンパス(横浜市)で武井武雄展を開く。共通の知人を通じて童画館の山岸吉郎館長が館内を案内したところ、藤田教授が作品に感銘を受けたことで実現。山岸館長は「若い学生が一人でも多く興味を持ち、アカデミックな領域ではまだ認知されていない武井の研究者が増えることで正当な評価や、美術史の中で確固たる地位を築くことにもつながっていけば」と期待する。
藤田教授の専門は、応用経済理論・経済政策。研究会ではITを活用したイベントや地域などのPR手法を研究する活動の一環で、諏訪地域をテーマの一つにしているという。童画館には今春訪れ、同教授が展示会の開催などを依頼した。
武井は生誕120年を記念した2014年の全国巡回展以降、芸術性やデザイン性、時代を超えたセンスなどが評価されてきた。一方で研究者は数人程度といい、同館は「武井の良いところ、悪いところを客観的に評価する人が増えなければブームの域を出ることはできない」とする。
慶応大に並べるのは「青の魔法」「鳥の連作」「星曜日」をはじめとした代表的な武井作品の複製画点、刊本作品10点など。2日(火)には山岸館長、脳科学者・石山徹さんの講演、藤田教授を加えての鼎談(ていだん)も予定する。
山岸館長は「まずは卒論のテーマにしてくれる学生が一人でも出てきてくれたら大成功」としつつ、「研究者が拡大し、美術史的に捉えられるようになれば大きな美術館での展示会開催や生誕130周年への弾みにもなる。刺激を受けた学生が、諏訪地域や童画館を訪れる契機にもなれば」と青写真を描く。
(写真は展示作品の一つ「鳥の連作No5」と山岸館長)