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童画の巨匠魅力再発信 「あなたが選ぶ武井作品」展
2018年10月29日童画の巨匠 魅力再発信
イルフ童画館20周年記念
「あなたが選ぶ武井作品」展
イルフ童画館(岡谷市中央町2)で、開館20周年記念企画展「あなたが選ぶ武井武雄作品」が開かれている。市内はじめ県内外の武井ファン、ゆかりの著名人らがリクエストした作品を並べる。パートⅠ、Ⅱの前後期で作品を入れ替え、来年3月まで。 オープン以降、収蔵する約6千点の武井作品をさまざまな切り口で展覧してきた同館。この20年を振り返りつつ、思い入れのある作品、もう一度見たい作品を公募して一人一人にその絵や武井芸術の魅力を書いてもらった。
約50人から応募があったほか、同館関係者らと親交のある人が呼び掛けに応えて好きな1点を選び、計約70点がピックアップされた。12月28日(金)までの前期で半数の36点を展示する。
美術、音楽などジャンルを問わず県内や東京の芸術家や出版関係者らがそれぞれ好きな作品を寄せた。
市出身の画家根岸芳郎さんは「おやゆびひめ」を選んで「給仕のネズミが振り返るところが映画のワンシーンのよう」。女優の村井美樹さんは「人魚と嫦娥」を取り上げ「美しさと繊細さに心を打ち抜かれた」。武井が生前、編集顧問として童画を描いたキンダーブックの出版社・フレーベル館の飯田聡彦社長は「一番おばけはちょっと不気味でキュート」とした。今井竜五市長も1枚を選んで「子どもの頃に目にした武井先生の絵を再び見ると、当時の情景がよみがえる。擬人化などの発想は独特」と書き込んだ。
山岸吉郎館長は「ひとりぼっちの人魚」について「武井は人魚を好んでモチーフにしたが、諏訪湖の精として描いたのかも」と想像した。
また次の20年に向かい、岡谷が生んだ芸術家・武井の魅力を掘り下げていく。山岸館長は「童画というと子ども向けと捉えられがちだが、大人が楽しめる魅力を広くPRし、全国的な知名度や評価を高めたい」と話す。
写真=原画と刊本を比較させて展示する