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イタリア式避難所を体験 県災害時支援ネットが諏訪市内で訓練

2025年3月22日

 被災者支援や連携に取り組む「長野県災害時支援ネットワーク」は21日、先進的なイタリア式の避難所システムを取り入れた実動訓練を諏訪市の諏訪湖イベントひろば(旧東洋バルヴ諏訪工場跡地)で行った。県内外から約250人が参加し、清潔なトイレやベッド、温かい食事などをそろえた避難所の運営方法を学んだ。
 イタリアでは必要な資機材が備蓄され、発災から48時間以内に「TKB(トイレ・キッチン・ベッド)」の整った避難所を設営する仕組みがあるという。今回の訓練は全国初の試みで、イタリア式に福祉的視点を取り入れた「長野モデル」の被災者支援を提唱した。
 前日早朝、諏訪市を震源とした阪神・淡路大震災クラスの直下型地震が発生したという想定。発災直後から、伊那市に備蓄した資機材の輸送を始め、被災地への運び込み訓練も行った。
 実動訓練には、募集した支援者役約120人、避難者役約100人が参加した。市社会福祉協議会がボランティアセンターを運営したほか、ドーム型シェルターを使った子どもの居場所づくり、キッチンカーによる分業型の食事提供といった訓練に取り組んだ。
 諏訪赤十字看護専門学校2年生は避難者役で参加。「シェルターがあると、プライバシーが守られて避難所でも安心できそう。温かい食事はメンタル的にも大事。避難してきた人たちが元気を出して、災害を乗り越えるエネルギーになる」と話した。
 事務局の県NPOセンターの職員は「イタリアでは民間ボランティアの支援で、温かく栄養に配慮した食事が提供される。日本の避難所システムを変えていきたいという思いがある」とし「仕組みをつくり、人を育てていきたい」と述べた。
 (写真は、ベッドを備えたドーム型シェルター)